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「砂に書いたラブ・レター」

小林信彦氏の「女優はB型」 を読むまで知らなかった。
1950年代に大ヒットしたパット・ブーンの名曲「砂に書いたラブ・レター」 のことだ。
僕はずっと海岸の砂にラブ・レターを書いたのだと思っていたが、
原題は「LOVE LETTERS」 とあるので、
この場合は「手紙」 の意味ではなく「文字」 のことだという。
つまり、砂に「LOVE」 という4文字を書いたのだと。

砂に書いた


確かに海岸の砂にラブ・レターを書くなんて
ちょっと無理な話だもんね。
してみると「砂に書いたラブ・レター」 という邦題は
誤解を招きやすい直訳で、
正しくは「砂に書いたLOVE」 とでもするべきだったんだね。
当時はあまり疑問に思う人はいなかったのだろうか。

ちなみに僕はビートルズの「ペニー・レイン」 を
なぜかずっと「痛い雨」 だと思っていた。
これが、リバプールに実在する通りの名前だと
知ったのはずいぶん後のことだった。
「LANE」 と「RAIN」 の区別もできなかった。赤面ものです。



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現状変更

ロシアによるウクライナ侵攻以降、
岸田首相の口からしばしば聞かれる言葉に
「力による一方的な現状変更」 というのがあるが、
どうにもこの言葉にはまどろっこしさを覚えるのだ。

現状変更


これを英語でなんと言っているのか知らないが
G7諸国もこの表現を認めているようだね。
中国やロシアという大国に忖度をしているのか
なるべく刺激しないようにしているのかわからないが
もう少し現実的な物言いはできないものだろうか。

瓦礫だらけになったウクライナの街の惨状を見れば
とても「現状変更」 などという言葉では済まされない。
「兵力による国土の破壊」 とでもふり仮名を
ふって欲しいと思う。


走馬灯

実体はないのに言葉にだけは残っている。
「走馬灯」 もそのひとつだね。
過去の記憶が頭を巡ることを
「走馬灯のように」 と紋切型で言う。
でもその「走馬灯」 って見たことのある人は
あまりいない。

そうまとう


お盆のときに使われる回り灯籠と同じで
電球やろうそくの熱で筒を回転させて
絵を投影させる仕組みのようだ。

これに代わる言葉がないので
この時代になっても「走馬灯のように」 と相変わらず
定番的に使われる。言葉は変わるというけれど
変えたくても変えられない。
そんな言葉もあるんだね。



「不適切」のあいまい。

いつ頃からだろう。
「不適切」 という言葉が多用されるようになったのは。
とくに多いのが政治家や芸能人の「不適切発言」 というやつで
メディアでその言葉を見聞きするたびに「またか」 と思う。

不適切


その言葉が差別なのか、侮辱なのか、あるいは猥褻なのか。
「不適切」 の「不適切たる所以」 を言わずに
すべていっしょくたに「不適切」 としている。
これではいま流行りの
「ある意味~」 とか「~を排除しない」 とか
はっきり言わずにあえてあいまいにするという
「断定言葉の回避」 に他ならないと思う。

なぜ、その発言が「不適切」 なのか.。
少なくともメディアは
そこまで言って欲しいと思うけどね。

「努力義務」って?

4月から自転車に乗る人に
ヘルメットの着用が「努力義務」 になったが
この「努力義務」 という言葉が
どうにも中途半端に思えるのだ。

努力義務


「努力義務」 とは法律の条文で
「~するよう努めなければならない」 と規定された
ことを指すらしいが法的拘束力や罰則はない。
わかりやすく言えば
「なるべくヘルメットをかぶるように努力して欲しいけど、
かぶらなくても違反ではないよ」 ということだ。

拘束力や強制力がないのに「義務」 という言葉を
使うのはどうかなと思うけど、
これでは着用率が急速に上がるとは思えない。
本当にヘルメットの着用を促すのなら
他にもっといい言葉はないものかと思うのだ。